全粒小麦を使った食品のメリットデメリットや、選ぶ時・食べるときの注意点は何だろうか?
本記事では、全粒小麦の栄養や健康効果について詳しく解説します。
全粒小麦とは?
全粒小麦とは、小麦の皮(ふすま)、胚芽(はいが)、胚乳(はいにゅう)を全て粉にしたものです。一般的に食用として使われる小麦粉は胚乳のみを粉にしたものであり、全粒小麦は栄養価が非常に高い食材として近年注目されています。
尚、全粒粉と全粒小麦は同じものです。
表記の違い
- 全粒粉:粉末状の製品を指すことが多い
- 全粒小麦:小麦の粒全体を指すこともある
全粒小麦の特徴
- 栄養価が高い:全粒小麦には、皮や胚芽に多く含まれる食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
- 香ばしい風味:全粒小麦は、胚乳のみの小麦粉よりも香ばしい風味があります。
- 食感が良い:全粒小麦は、胚乳のみの小麦粉よりも粒子が粗いため、ザクザクとした食感があります。
- 血糖値の上昇を抑える:全粒小麦に含まれる食物繊維は、糖の吸収を緩やかにし、血糖値の上昇を抑える効果があります。
- 便秘を解消する:全粒小麦に含まれる食物繊維は、腸のぜん動運動を活発にし、便秘を解消する効果があります。
- コレステロール値を下げる:全粒小麦に含まれる食物繊維は、悪玉コレステロールの吸収を抑制し、コレステロール値を下げる効果があります。
全粒小麦と薄力粉・強力粉の違い
種類 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
全粒小麦 | 小麦の粒まるごとを粉にする | パン、パスタ、クッキー、シリアルなど |
薄力粉 | 胚乳を細かく挽いた粉 | ケーキ、クッキー、天ぷらなど |
強力粉 | 胚乳を粗めに挽いた粉 | パン、麺類など |
粉類は種類によって性質が異なるため、用途に合ったものを選んでください。
全粒小麦はグルテンフリーではない!
グルテンは、小麦、大麦、ライ麦などの穀物に含まれるタンパク質です。全粒粉は小麦の粒まるごとを粉にするため、グルテンも含まれます。
一方、グルテンフリーとは、グルテンを含まない食品のことです。グルテンフリーの食品には、以下のようなものがあります。
- 米
- とうもろこし
- キヌア
- そば
- アワ
- ヒエ
- キビ
- 豆類
- ナッツ類
- 果物
- 野菜
グルテンフリーの食事は、セリアック病などのグルテン不耐症の人にとって必要不可欠です。
また、近年では健康志向の人々からも注目されています。
全粒粉はグルテンフリーではありませんが、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富です。
以下に、全粒粉とグルテンフリー食品の比較表をご紹介します。
項目 | 全粒粉 | グルテンフリー食品 |
---|---|---|
グルテン | 含む | 含まない |
食物繊維 | 豊富 | 少ない |
ビタミン | 豊富 | 少ない |
ミネラル | 豊富 | 少ない |
用途 | パン、パスタ、クッキー、シリアルなど | 米粉パン、米粉マフィン、白玉団子など |
適している人 | 健康的な食生活を送りたい人 | セリアック病などのグルテン不耐症の人、健康志向の人 |
グルテンフリーが流行っている理由
- 健康への意識の高まり:グルテンフリーは、セリアック病などのグルテン不耐症の人にとって必要不可欠な食事療法です。近年、健康への意識が高まるにつれ、グルテンフリーが健康的な食生活を送るための選択肢として注目されています。
- ダイエット効果:グルテンを含む食品は、血糖値を急上昇させる可能性があります。グルテンフリーの食事は、血糖値の上昇を抑制し、ダイエット効果が期待できます。
- 美肌効果:グルテンフリーの食事は、腸内環境を整え、肌荒れやニキビなどの肌トラブルを改善する効果が期待できます。
- セレブの影響:海外のセレブがグルテンフリーを実践していることから、ファッションとして取り入れる人も増えています。
グルテンフリーは本当に良いの?
グルテンフリーは、セリアック病などのグルテン不耐症の人にとっては必要不可欠な食事療法です。しかし、一般の人にとってグルテンフリーが必ずしも良いとは限りません。
グルテンフリーのメリット
- セリアック病などのグルテン不耐症の症状を改善できる
- ダイエット効果が期待できる
- 美容効果が期待できる
- 体質改善効果が期待できる
グルテンフリーのデメリット
- 食材の選択肢が狭くなる
- 栄養バランスが崩れる可能性がある
- コストがかかる
グルテンフリーの研究結果
グルテンフリーの効果に関する研究は、まだ十分ではありません。しかし、いくつかの研究では、グルテンフリーが以下のような効果をもたらす可能性があることが示唆されています。
- セリアック病の症状改善
- 体重減少
- 腸内環境改善
- 炎症の軽減
一方で、グルテンフリーが健康に悪影響を与える可能性を示唆する研究もあります。
グルテンフリーを実践する前に、「自分の体質」や「食生活」「経済状況」の点について考慮する必要があります。
全粒小麦が健康に良い理由
全粒小麦は、精製された小麦粉よりも栄養価が高く、健康に良い食品として注目されています。
全粒小麦の健康効果
- 血糖値の上昇を抑制する:全粒小麦に含まれる食物繊維は、糖の吸収を抑制し、血糖値の上昇を緩やかにします。
- ダイエット効果:血糖値の上昇が抑制されると、インスリンの分泌が抑制され、脂肪の蓄積が抑えられます。
- 便秘を解消する:食物繊維は、腸内環境を整え、便秘を解消する効果があります。
- コレステロール値を下げる:食物繊維は、余分なコレステロールを体外に排出する効果があります。
- 糖尿病や心臓病などの生活習慣病のリスクを減らす:血糖値やコレステロール値を下げる効果は、糖尿病や心臓病などの生活習慣病のリスクを減らす効果があります。
全粒小麦と精製された小麦粉の違い
項目 | 全粒小麦 | 精製された小麦粉 |
---|---|---|
栄養価 | 食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富 | 食物繊維、ビタミン、ミネラルが少ない |
GI値 | 低い | 高い |
健康効果 | 血糖値の上昇を抑制する、ダイエット効果、便秘を解消する、コレステロール値を下げる、生活習慣病のリスクを減らす | なし |
全粒小麦のデメリットは?
- 白小麦粉よりも価格が高い: 栽培や製粉に手間がかかる
- 入手が難しい: 白小麦粉ほど一般的ではない
- 腹持ちが悪い: 食物繊維が豊富で消化吸収に時間がかかるため、人によっては腹持ちが悪いと感じる場合がある
- 食べ過ぎると消化不良になる: 食物繊維の摂り過ぎは、腹痛や下痢の原因になる
- フィチン酸がミネラル吸収を阻害する: フィチン酸は、ミネラルの吸収を阻害する可能性がある
- グルテンを含む: セリアック病などグルテン不耐症の人には不向き
食べ過ぎるとどうなる?
全粒小麦は栄養価の高い食材ですが、食べ過ぎると以下の症状が現れる可能性があります。
- 消化不良: 腹痛、下痢、便秘
- 栄養不足: フィチン酸がミネラルの吸収を阻害
- グルテン過敏症: 頭痛、倦怠感、関節痛
全粒小麦の適量
全粒小麦の適量は、個人差がありますが、1日あたり100g程度が目安です。白小麦粉と置き換えて、徐々に全粒小麦を食生活に取り入れるのがおすすめです。
注意点
- 食物繊維の多い食材と一緒に摂ると、消化不良を起こしやすくなるので注意が必要です。
- 水分をしっかり摂取することが大切です。
- 消化機能が弱い人は、食べ過ぎに注意が必要です。
全粒小麦の用途と注意点
全粒小麦の用途
- パン:全粒粉パンは、香ばしい風味と食べ応えが特徴
- パスタ:全粒粉パスタは、食物繊維が豊富でヘルシー
- クッキー:全粒粉クッキーは、素朴な味わいで栄養価が高い
- シリアル:全粒粉シリアルは、朝食に最適
パン
- Pasco 超熟 窯焼きふんわり全粒粉: 国産小麦100%使用で、もっちりとした食感と香ばしい風味が特徴です。
- 日糧製パン 100%国産全粒粉ブレッド: 国産全粒粉100%使用で、素朴な味わいと食べ応えのある食感です。
パスタ
- マ マーレ スパゲッティ 全粒粉100%: 100%全粒粉使用で、もちもちとした食感と香ばしい風味が特徴です。
- 日清製粉ウェルナ スパゲッティ 全粒粉: 食物繊維が豊富で、つるっとした食感とほんのり甘みのある味わいです。
- ディチェコ 全粒粉 スパゲッティ No.12: イタリア産有機栽培小麦100%使用で、アルデンテに仕上がるとても美味しいパスタです。
その他
- 日清製粉グループ 全粒粉ホットケーキミックス: 全粒粉100%使用で、食物繊維が豊富でヘルシーなホットケーキが作れます。
- ニップン 全粒粉お好み焼き粉: 全粒粉100%使用で、食物繊維が豊富でヘルシーなお好み焼きが作れます。
- マ マーレ 全粒粉マカロニ: 100%全粒粉使用で、もちもちとした食感と香ばしい風味が特徴のマカロニです。
上記以外にも、たくさんの種類の全粒小麦100%の商品が販売されています。
全粒小麦を使う際の注意点
- 全粒小麦は、白小麦粉よりもグルテンが少ないため、パン生地がまとまりにくいことがあります。
- 全粒小麦は、白小麦粉よりも水分を吸収するため、生地が硬くなりやすいことがあります。
- 全粒小麦は、白小麦粉よりも時間がかかって発酵することがあります。
これらの点を踏まえて、全粒小麦を使った料理に挑戦してみてください。
全粒小麦を選ぶ際のポイント
全粒小麦を選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。
1. 全粒粉含有量
全粒小麦粉と表示されていても、必ずしも100%全粒小麦が使われているわけではありません。
できるだけ全粒粉含有量が多いものを選ぶようにしましょう。
理想的には、90%以上です。パッケージに「100%全粒粉」や「ホールウィート」と表示されているものを選ぶのが確実です。
2. 色
全粒小麦は、白小麦粉よりも色が濃いです。
できるだけ色が濃いものを選ぶようにしましょう。これは、皮や胚芽の部分が多く含まれているためです。皮や胚芽には、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
3. 挽き方
石臼挽きされた全粒小麦は、一般的なローラーミルで挽いた全粒小麦よりも栄養価が高いと言われています。しかし、石臼挽きされた全粒小麦は、一般的な全粒小麦よりも価格が高く、入手が難しい場合があります。自分の食生活や予算に合わせて、最適な全粒小麦を選びましょう。
- 熱による栄養素の損失が少ない:石臼挽きは、ローラーミルに比べて低温で製粉するため、熱によるビタミンB群やミネラルなどの栄養素の損失が少ないです。
- 微粉化が少ない:石臼挽きは、ローラーミルに比べて粗挽きになるため、小麦粉の粒子が大きく、食物繊維が損なわれにくいです。
- 酸化が少ない:石臼挽きは、ローラーミルに比べて摩擦が少なく、小麦粉の酸化が抑えられます。
石臼挽きされた全粒小麦は、以下の栄養素が豊富です。
- 食物繊維:便秘解消、腸内環境改善、血糖値の上昇抑制
- ビタミンB群:エネルギー代謝、皮膚や粘膜の健康維持
- ミネラル:骨や歯の形成、血液の生成
その他の挽き方として以下があります。
- ローラーミル:最も一般的な製粉方法です。効率的に大量生産できる一方、熱による栄養素の損失や微粉化が課題です。
- ディスクミル:ローラーミルよりも低温で製粉できますが、石臼挽きほどではありません。
- ジェットミル:空気の力で粉砕するため、熱による栄養素の損失がほとんどありませんが、高価な設備が必要です。
尚、全粒小麦は、挽き方によって食感が変わります。粗挽きは、粒感が残って食べ応えがあります。細挽きは、滑らかな食感で使いやすいです。
4. 添加物
全粒小麦粉の中には、保存料や膨張剤などの添加物が含まれていることがあります。
できるだけ添加物が入っていないものを選ぶようにしましょう。
5. 有機栽培
有機栽培された全粒小麦は、農薬や化学肥料を使わずに栽培されています。
より安全な全粒小麦を選びたい場合は、有機栽培されたものを選ぶようにしましょう。
全粒小麦は、健康志向の人におすすめの食材です。
健康に良いとされている全粒小麦!
全粒粉と小麦粉の違いは、使われている小麦の部分!