栄養素「ミネラル」とは?その役割と健康への影響|効率よく摂取する方法、食事例を紹介

ちゃんキリン

体の機能を正常に保つために欠かせない重要な栄養素「ミネラル」

ちゃんパンダ

体内で合成できないため、食事からとる必要がある….。実際の食事例も一緒に解説していこう!

この記事でわかること
  • 主な水溶性ミネラルには、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガンなどがある
  • ミネラルは体内で合成できない。食事から摂取必須
  • ミネラルの不足、過剰摂取の症状や注意点
  • ミネラルの吸収率を上げるポイント

ミネラルの役割と働き

ミネラルは、人体の健康に欠かせない栄養素であり、体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。ビタミンと同じく微量栄養素に分類されますが、ミネラルはビタミンと異なり、無機物質です。人体に必要なミネラルは、カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リンなど、16種類に分かれています。それぞれが異なる役割を果たし、健康維持に不可欠です。

ミネラルの性質

ミネラルの性質は、以下のとおりです。

  • 体内で合成できない
  • 体内に少量しか存在しない
  • 体内の様々な働きに不可欠

ミネラルは、大きく分けて「マクロミネラル」「微量ミネラル」の2つに分けられます。

マクロミネラルは、体内に多く存在するミネラルで、骨や歯の形成、体液のバランスの維持、神経伝達など、様々な働きに不可欠です。カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リンの5種類があり、以下の性質があります。

  • 体重の約4%を占める
  • 主に骨や歯、細胞の構成成分として働く
  • 体液の浸透圧や神経伝達、筋肉の収縮など、さまざまな生理機能に必要

微量ミネラルは、体内に少量しか存在しないミネラルで、酵素の働きを助ける、骨や歯の形成、ホルモンの合成など、様々な働きに不可欠です。鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンの8種類があり、以下の性質があります。

  • 体重の約0.001%を占める
  • 主に酵素の構成成分として働く
  • ホルモンの合成や免疫機能、抗酸化作用など、さまざまな生理機能に必要

主要なミネラルの働き

ミネラルは、体内で多様な機能を担っています。以下は主要なミネラルの働きについてです。

  • カルシウム: 骨や歯の構造を維持するために重要なミネラルであり、神経伝達や筋肉収縮にも関与しています。不足すると骨密度が低下し、骨粗しょう症のリスクが高まります。
  • : 赤血球のヘモグロビンに含まれる成分であり、酸素を全身に運ぶ役割を果たします。鉄不足は貧血を引き起こし、疲れやすさや集中力の低下をもたらすことがあります。
  • 亜鉛: 免疫機能の維持、細胞の修復、味覚の正常化に関与しています。亜鉛が不足すると、味覚障害や免疫力低下、創傷治癒の遅延が生じます。
  • マグネシウム: 体内で300以上の酵素反応に関わり、筋肉の収縮とリラックス、エネルギー産生に寄与します。マグネシウム不足は、筋肉の痙攣や不整脈、エネルギー不足を引き起こすことがあります。
  • ナトリウム: 体内の水分バランスを調整し、神経の伝達や筋肉の正常な機能をサポートします。ただし、過剰摂取は高血圧や心疾患のリスクを高める可能性があります。
  • カリウム: ナトリウムとのバランスを取りながら、体内の浸透圧なを調整し、筋肉や神経の正常な機能をサポートします。カリウムが不足すると、筋力の低下や不整脈が生じることがあります。
  • リン: 骨や歯の構成要素としてカルシウムと共に働きます。また、エネルギー代謝やDNA合成にも関与しています。リンが不足することは稀ですが、過剰摂取はカルシウムの吸収を妨げることがあります。

ミネラル不足の原因とリスク

ミネラル不足はさまざまな要因で引き起こされます。現代の食生活では、加工食品や精製された食品が多く含まれていますが、これらはミネラルを含む量が少ない傾向にあります。また、ストレス、過剰なアルコール摂取、カフェインの過剰摂取も、ミネラルの吸収や利用を阻害する要因です。

特定のミネラルが不足すると、以下のような健康リスクが高まります。

  • カルシウム不足: 骨粗しょう症、骨折のリスク増加。
  • 鉄不足: 貧血、疲労、免疫力の低下。
  • 亜鉛不足: 味覚障害、免疫力低下、傷の治癒の遅れ。
  • マグネシウム不足: 筋肉の痙攣、不整脈、エネルギー不足。
  • カリウム不足: 筋力低下、血圧の変動、不整脈。

ミネラルを豊富に含む食品

ミネラルを効率的に摂取するためには、バランスの取れた食事が重要です。以下はミネラルを豊富に含む食品とその摂取のポイントです。

  • カルシウム: 牛乳や乳製品、豆腐、しらす、青菜類(ほうれん草や小松菜)。ビタミンDと一緒に摂取することで、カルシウムの吸収が促進されます。
  • : レバーや赤身の肉、魚介類、ほうれん草。ビタミンCを含む食品と一緒に摂取すると、鉄の吸収が高まります。
  • 亜鉛: 牡蠣や牛肉、ナッツ、種子類。バランスの良い食事が亜鉛不足を防ぎます。
  • マグネシウム: ナッツ、種子類、全粒穀物、緑の葉野菜。加工食品を控え、自然な食品から摂取するのが理想的です。
  • ナトリウム: 食塩、加工食品、漬物などに含まれています。摂りすぎに注意し、適度な量を保つことが大切です。
  • カリウム: バナナやジャガイモ、ほうれん草などの野菜、果物、豆類に豊富です。ナトリウムとのバランスを考えて摂取します。

ミネラルの過剰摂取に注意

ミネラルは不足すると健康に悪影響を与えますが、過剰摂取もまた問題となります。特にサプリメントでのミネラル摂取は、過剰摂取のリスクが高くなるため、注意が必要です。

  • カルシウムの過剰摂取: 腎結石や心血管疾患のリスクが増加する可能性があります。
  • 鉄の過剰摂取: ヘモクロマトーシス(鉄過剰症)や肝臓のダメージのリスクがあります。
  • ナトリウムの過剰摂取: 高血圧、心疾患、腎疾患のリスクを高めます。

ミネラルの適切な摂取量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で定められています。

バランスよく含まれています。さまざまな食品を組み合わせて、過不足しないように注意しましょう。

ミネラルの効率よく摂取するポイント

ミネラルを効率よく摂取するためには、以下のポイントを押さえると効果的です。

1. 食品の組み合わせを工夫する

特定のミネラルの吸収を高めるために、相性の良い栄養素を含む食品を一緒に摂ると効果的です。

2. 加工食品を避ける

加工食品には、ミネラルが失われている場合が多く、塩分や添加物が多く含まれていることがあります。可能な限り、自然に近い形の食品を選ぶようにしましょう。例えば、白米ではなく玄米、精製された小麦粉よりも全粒粉などが良い選択です。

3. サプリメントの適切な利用

食事から十分なミネラルが摂れない場合は、サプリメントを補助的に利用することも考慮できます。ただし、サプリメントは過剰摂取のリスクがあるため、適量を守ることが重要です。医師や栄養士と相談して、必要なミネラルだけを補うようにしましょう。

4. 吸収を阻害する食品を避ける

ミネラルの吸収を妨げる成分が含まれている食品もあります。

  • 鉄の吸収阻害: コーヒー紅茶に含まれるタンニンや、カルシウムを多く含む食品(例: 牛乳)は、鉄の吸収を阻害します。鉄分を多く含む食事を摂るときは、これらの飲み物を避けるか、摂取の時間をずらすと良いでしょう。
  • カルシウムの吸収阻害: 過剰な塩分やカフェインはカルシウムの吸収を妨げる可能性があります。これらの摂取量には注意が必要です。

5. 調理法を工夫する

調理法によってミネラルが失われることもあります。以下の調理法を活用して、ミネラルの損失を防ぎましょう。

  • 野菜は蒸すか炒める: 野菜に含まれるミネラルは水に溶けやすいため、茹でるよりも蒸すか炒める方がミネラルの損失を抑えることができます。
  • 煮汁を活用する: スープや煮物の汁には、野菜から溶け出したミネラルが多く含まれているため、煮汁も一緒に食べるようにしましょう。

6. バランスの取れた食事を心がける

特定のミネラルに偏らず、全体のバランスを考えた食事を摂ることが、長期的な健康維持につながります。特に、多くの種類の野菜、果物、穀物、肉類、魚介類をバランスよく取り入れることが重要です。

ミネラルをバランスよく摂取するための1日の食事例

このメニューは、鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などの主要なミネラルを含む食品を組み合わせ、さらに吸収を助けるビタミンも考慮したものです。

朝食

  • 主食: オートミール(牛乳または豆乳で調理)
    • ミネラル: マグネシウム、鉄、亜鉛
    • ビタミン: ビタミンB群
  • 副菜: ほうれん草のソテー(オリーブオイル使用)
    • ミネラル: 鉄、カルシウム、マグネシウム
    • ビタミン: ビタミンC(鉄の吸収をサポート)
  • フルーツ: オレンジスライス
    • ミネラル: カリウム
    • ビタミン: ビタミンC(鉄の吸収促進)
  • ドリンク: 緑茶
    • ミネラル: マグネシウム

昼食

  • 主食: 玄米ごはん
    • ミネラル: マグネシウム、鉄
  • メイン: 鯖の塩焼き
    • ミネラル: カルシウム、亜鉛
    • ビタミン: ビタミンD(カルシウムの吸収をサポート)
  • 副菜: ブロッコリーのごま和え
    • ミネラル: カルシウム、マグネシウム
    • ビタミン: ビタミンC
  • 味噌汁: 豆腐とわかめの味噌汁
    • ミネラル: カルシウム、マグネシウム、鉄

おやつ

  • ナッツとドライフルーツのミックス
    • ミネラル: マグネシウム、亜鉛、鉄
    • ビタミン: ビタミンE(抗酸化作用)

夕食

  • 主食: 全粒粉パン
    • ミネラル: 鉄、亜鉛、マグネシウム
  • メイン: 鶏むね肉のグリル(レモン添え)
    • ミネラル: 鉄、亜鉛
    • ビタミン: ビタミンC(鉄の吸収をサポート)
  • 副菜: カリフラワーとキヌアのサラダ(オリーブオイルドレッシング)
    • ミネラル: カルシウム、マグネシウム
    • ビタミン: ビタミンC、ビタミンK
  • スープ: レンズ豆のスープ
    • ミネラル: 鉄、マグネシウム

夜食

  • ドリンク: ホットミルクまたはハーブティー
    • ミネラル: カルシウム、マグネシウム

この食事例は、ミネラルを効果的に摂取しやすいメニュー構成を考えています。また、ビタミンCを積極的に取り入れることで、鉄やカルシウムなどの吸収率を高める工夫も取り入れています。

ABOUT US
ちゃんなそ
大学では農学を専攻。食の「健康」や「栄養」について勉強しながら働く会社員です。手軽に効率的に栄養を摂取、健康につながるように、食材を購入、料理しています。 このサイトでは、皆様がいきいきとした毎日を過ごすための食に関する情報を発信しています。日々の食事で、身体も心も生活習慣も変わりますよ☆