この記事では、過剰な減塩のリスクと、それが健康に与える影響についての最新の研究結果を紹介し、バランスの取れた塩分摂取の重要性を解説!
目次
過剰な減塩は体に悪い!
1. 減塩の基本的な利点
まず、減塩が健康に良い理由について簡単におさらいします。
- 高血圧の予防: 塩分の摂取過多は高血圧の原因となり、心臓病や脳卒中のリスクを高めます。減塩はこれらのリスクを減少させるとされています。
- 腎臓の保護: 過剰な塩分は腎臓に負担をかけ、慢性腎臓病のリスクを増加させます。適度な減塩は腎臓の健康を守ります。
2. 過剰な減塩のリスクと影響
過剰な減塩が健康に及ぼすリスクについて、以下の研究結果が示されています。
2.1 心血管リスクの増加
- 研究1: 2014年の「ニューヨークタイムズ」に掲載された研究によると、過剰な減塩(1日あたりの塩分摂取量が3グラム未満)は、心血管疾患のリスクを増加させる可能性があるとされています。これは、過剰な減塩が血管の柔軟性を損なうことに関連していると考えられています。
- 研究2: 2016年の「アメリカ心臓協会ジャーナル」に発表された研究では、塩分を極端に制限すると、心臓病のリスクが増加することが示されています。研究者たちは、過剰な減塩が心臓の機能に悪影響を及ぼす可能性があると警告しています。
2.2 腎臓への影響
2013年に「ランセット」に掲載された研究によると、塩分を極端に減らすことで腎臓の機能が低下し、慢性腎臓病のリスクが増加する可能性があるとされています。塩分が少なすぎると、腎臓が過剰なナトリウムを排出するのに過度な負担がかかると考えられています。
2.3 ホルモンバランスの乱れ
2012年の「内分泌学ジャーナル」に発表された研究では、過剰な減塩がホルモンバランスに影響を与える可能性が示されています。特に、アルドステロンというホルモンの分泌が増加し、血圧や体液バランスが乱れることが確認されています。
塩を”摂る”と”出す”を一緒に行うことが大切!
塩分の排出を促す食材
塩分の排出を促す方法
- 水分をしっかり摂取する: 水分を多く摂取することで、尿量が増え、塩分も排出されやすくなります。
- 適度な運動をする: 運動をすることで、汗をかいて塩分を排出することができます。
- ストレスを溜めない: ストレスは、塩分の排出を妨げるホルモンの分泌を促します。
適切な塩分の摂取
- 厚生労働省が推奨する1日の食塩摂取量の目標量は、男性8.0g、女性7.0gです。
- 加工食品や外食では、塩分が多く含まれている場合があるので、注意が必要です。
これらのポイントを意識することで、塩分の摂り過ぎを防ぎ、健康的な食生活を送ることができます。
塩の健康効果
塩には、以下の健康効果が期待されています。
- 血圧の調整
塩は、体内の浸透圧を調整する働きがあります。浸透圧とは、水が濃度の低い場所から濃度の高い場所に移動する性質です。塩を摂取することで、体内の浸透圧が上がり、血液中の水分が細胞内へ移動しやすくなります。これにより、血液の量が減少し、血圧が下がると考えられています。
- 筋肉の収縮と弛緩
塩は、筋肉の収縮と弛緩にも関与しています。筋肉は、ナトリウムとカリウムのバランスによって収縮と弛緩を繰り返します。塩を摂取することで、ナトリウムとカリウムのバランスが整い、筋肉の働きが正常化すると期待されています。
- 消化器の働きの改善
塩は、消化液の分泌を促進する働きがあります。消化液には、食べ物を分解する酵素や、食べ物から栄養素を吸収するのを助ける役割があります。塩を摂取することで、消化液の分泌が促進され、消化吸収が改善すると期待されています。
- 骨の健康維持
塩は、骨の形成や成長に必要なカルシウムの吸収を促進する働きがあります。塩を摂取することで、カルシウムの吸収が促進され、骨の健康維持に役立つと考えられています。
- 疲労回復
塩は、エネルギー代謝を促進する働きがあります。エネルギー代謝とは、食べ物をエネルギーに変える働きです。塩を摂取することで、エネルギー代謝が促進され、疲労回復に役立つと考えられています。
塩は「天然塩」と「食塩」の2種類
「天然塩」と「食塩」の違い
塩の種類は、大きく分けて「天然塩」と「食塩」の2種類に分けられます。
天然塩は、海水や岩塩などの天然の塩を、精製せずにそのまま使用したものです。そのため、天然塩には、塩化ナトリウムのほかに、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。
食塩は、塩化ナトリウムを主成分とする調味料です。食塩は、塩化ナトリウムの純度を高めるために、ミネラルを除去しているため、天然塩と比べて、塩味が強く、ミネラルはほとんど含まれていません。
天然塩と食塩の違いを以下にまとめました。
項目 | 天然塩 | 食塩 |
---|---|---|
原料 | 海水、岩塩などの天然の塩 | 塩化ナトリウム |
製法 | 精製なし | 精製あり |
含有成分 | 塩化ナトリウム、ミネラルなど | 塩化ナトリウム |
味 | まろやか | 塩辛い |
ミネラル | 豊富 | ほとんどない |
用途 | 料理の風味付け、ミネラル補給 | 料理の調味料 |
このように、天然塩と食塩は、原料や製法、含有成分、味、ミネラル、用途などにおいて、さまざまな違いがあります。
詳細な塩の種類と特徴
以下は、塩の種類別に特徴、用途、おすすめの対象を含めています。
塩の種類 | 特徴 | 用途 | おすすめの対象 | 見分け方 |
---|---|---|---|---|
海塩 | 天然の海水から採取。ミネラルが豊富。 | 食品の風味付け、調理全般 | ミネラルを意識したい人、風味を楽しみたい人 | 粗さや色合いが異なり、パッケージに「海塩」や「塩田塩」と記載されていることが多い |
岩塩 | 地下の塩鉱から採掘。色や形が多様。 | グリル料理、調味料 | 健康意識の高い人、独特の風味を楽しみたい人 | ピンク色や褐色が特徴的で、パッケージに「岩塩」や「ヒマラヤ塩」と記載されている |
湖塩 | 塩湖から採取。ミネラルが豊富。 | 料理全般、風味付け | 健康志向の人、独特の味わいを求める人 | 「湖塩」や特定の塩湖名(例:モルドバ塩)が記載されている |
精製塩 | 高純度のナトリウムクロライド。 | 料理全般、家庭用 | 日常的な塩分摂取を必要とする人 | 細かい粒子で、パッケージに「食塩」や「精製塩」と記載されている |
ヨウ素塩 | 精製塩にヨウ素を添加。 | 健康維持(特にヨウ素欠乏症予防) | ヨウ素不足が心配な人、地域的に不足しやすい人 | 「ヨウ素添加」や「ヨウ素入り」と記載されている |
コーシャー塩 | 粗い粒子で、調理や下ごしらえに使用。 | 肉の塩漬け、調味料 | 肉料理や煮込み料理をよく作る人 | 粗い粒子で、パッケージに「コーシャー塩」と記載されている |
フレーバー塩 | ハーブやスパイスが加えられている塩。 | 風味付け、特別な料理 | 風味を楽しみたい人、料理のアクセントを加えたい人 | 「ガーリック塩」「ローズマリー塩」などのフレーバー名が記載されている |
ブラックソルト | 特有の風味と色合いが特徴。 | インド料理、スパイシーな料理 | エスニック料理が好きな人、ユニークな風味を求める人 | 黒褐色で、パッケージに「ブラックソルト」または「カラミリソルト」と記載されている |
天然塩と食塩の見分け方
- 天然塩: 通常、色や形が自然でミネラルが含まれています。パッケージには「海塩」「岩塩」「湖塩」といった言葉が書かれていることが多いです。色や粒子が均一でない場合もあります。
- 食塩: 一般的に純度が高く、粒子が均一で白いです。パッケージに「食塩」「精製塩」「塩」と記載されており、添加物が含まれていることがあります。
健康に良いおすすめの塩は?
健康にも良い塩は、一言でいうと「ミネラルバランスの良い塩」です。
ミネラルバランスの良い塩の選び方
- 精製されていない塩を選ぶ: 精製塩は、ミネラル分がほとんど取り除かれています。
- 天然塩を選ぶ: 天然塩は、海水のミネラル分をそのまま含んでいます。
- 産地や製法を確認する: 塩の産地や製法によって、ミネラルバランスが異なります。
おすすめの塩
- 海塩: 海水を天日干しなどで乾燥させた塩
- 岩塩: 地下から採掘された塩
- 湖塩: 湖水を乾燥させた塩
これらの塩は、ナトリウム以外にも、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。
減塩が健康に良いというのは広く知られているけど、近年の研究は、過剰な減塩が実は体に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆しているよ。